β,γをαを用いて表せ。

 投稿者:山中和義  投稿日:2013年 9月22日(日)16時44分18秒
  1990年度東大入試を考えてみる。

3次方程式 x^3+3x^2-1=0 の1つの解をαとする。
(1) (2α^2+5α-1)^2 を aα^2+bα+c の形で表わせ。ただし、a,b,cは有理数とする。
(2) 上の3次方程式のα以外の2つの解を(1)と同じ形の式で表わせ。

考察
解と係数の関係より、α+β+γ=-3、αβ+βγ+γα=0
∴β+γ=-(α+3)、βγ=-α(β+γ)=α^2+3α
∴(α-β)(α-γ)=α^2-(β+γ)α+βγ=α^2+(α+3)α+(α^2+3α)=3α^2+6α
 (β-γ)^2=(β+γ)^2-4βγ=(-(α+3))^2-4(α^2+3α)=-3α^2-6α+9

ここで、D=((α-β)(α-γ)(β-γ))^2より、
D
=(3α^2+6α)^2(-3α^2-6α+9) =-27α^6-162α^5-243α^4+108α^3+324α^2
≡81 ∵α^3+3α^2-1=0より

また、β-γ={(α-β)(α-γ)(β-γ)^2}/{(α-β)(α-γ)(β-γ)}なので、
分母=±√D
分子=(3α^2+6α)(-3α^2-6α+9)=-9α^4-36α^3-9α^2+54α≡18α^2+45α-9 ∵α^3+3α^2-1=0より
∴β-γ≡±(2α^2+5α-1)
(終り)


x^3+ax^2+bx+c=0を考えてみる。
解と係数の関係より、α+β+γ=-a、αβ+βγ+γα=b
∴β+γ=-(α+a)、βγ=-α(β+γ)+b=α^2+aα+b
∴(α-β)(α-γ)=α^2-(β+γ)α+βγ=α^2+(α+a)α+(α^2+aα+b)=3α^2+2aα+b
 (β-γ)^2=(β+γ)^2-4βγ=(-(α+a))^2-4(α^2+aα+b)=-3α^2-2aα+a^2-4b
ここで、D=((α-β)(α-γ)(β-γ))^2より、
D
=(3α^2+2aα+b)^2(-3α^2-2aα+a^2-4b)
≡a^2*b^2+18*a*b*c-4*b^3-4*a^3*c-27*c^2 ∵α^3+aα^2+bα+c=0より
また、β-γ={(α-β)(α-γ)(β-γ)^2}/{(α-β)(α-γ)(β-γ)}なので、
分母=±√D
分子=(3α^2+2aα+b)(-3α^2-2aα+a^2-4b)
  ≡(2*a^2-6*b)α^2+(2*a^3-7*a*b+9*c)α+(a^2*b-4*b^2+3*a*c) ∵α^3+aα^2+bα+c=0より
∴β-γ≡±( 省略 )
(終り)


!問題
!3次方程式f(x)=x^3+ax^2+bx+c=0とする。
!1つの実数解をαとする。他の2つの実数解β,γをαを用いて表せ。

OPTION ARITHMETIC RATIONAL !有理数(分数)

LET a=3 !x^3+ax^2+bx+c
LET b=0
LET c=-1


LET D2=a^2*b^2+18*a*b*c-4*b^3-4*a^3*c-27*c^2 !判別式
PRINT "判別式D="; D2

IF D2>=0 THEN
   LET SD=INTSQR(D2)
   PRINT "√D="; SD

   IF SD*SD=D2 THEN !平方数なら
      LET A2=2*(a^2-3*b)/SD
      LET A1=(2*a^3-7*a*b+9*c)/SD
      LET A0=(a^2*b-4*b^2+3*a*c)/SD
      PRINT A2; A1; A0 !β-γの値
      PRINT "β=(";  A2/2; ") * α^2 + ("; (-1 +A1)/2; ") * α + ("; (-a +A0)/2; ")"
      PRINT "γ=("; -A2/2; ") * α^2 + ("; (-1 -A1)/2; ") * α + ("; (-a -A0)/2; ")"
   ELSE
      PRINT "表せません。"
   END IF

ELSE
   PRINT "判別式Dが負です。"

END IF

END


実行結果

判別式D= 81
√D= 9
2  5 -1
β=( 1 ) * α^2 + ( 2 ) * α + (-2 )
γ=(-1 ) * α^2 + (-3 ) * α + (-1 )


実際に3つの実数解を求めると、
α=2cos(2π/9)-1≒ 0.532088886237954
β=α^2+2α-2≒-0.652703644666136
γ=-α^2-3α-1≒-2.87938524157182

α=2cos(4π/9)-1≒-0.652703644666139
β=α^2+2α-2≒-2.87938524157182
γ=-α^2-3α-1≒ 0.532088886237956

α=2cos(8π/9)-1≒-2.87938524157182
β=α^2+2α-2≒ 0.532088886237968
γ=-α^2-3α-1≒-0.652703644666148

 

Re: β,γをαを用いて表せ。

 投稿者:山中和義  投稿日:2013年 9月23日(月)11時28分55秒
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つづき

> 3次方程式 x^3+3x^2-1=0 の1つの解をαとする。
> (1) (2α^2+5α-1)^2 を aα^2+bα+c の形で表わせ。ただし、a,b,cは有理数とする。
> (2) 上の3次方程式のα以外の2つの解を(1)と同じ形の式で表わせ。

(2)の解法は、

 x^3+3x^2-1=(x-α)(x^2+(α+3)x+(α^2+3α)) から、β,γは解の公式より、
  x
 =(-(α+3)±√((-(α+3))^2-4(α^2+3α)))/2
 =(-(α+3)±√(-3α^2-6α+9))/2
 =(-(α+3)±(2α^2+5α-1))/2 ∵(1)の結果より  ←※

考察、プログラムは、

 連立方程式
  β+γ=A  具体的には、-(α+3)
  β-γ=B        2α^2+5α-1
 を解いて、2次方程式x^2+ax+b=0の2解β,γを得ている。


この2つの接点は、

 2解は、x={(β+γ)±(β-γ)}/2 と表される。 ←※

 この式は、2次方程式の解の公式と解釈できる。
 (考察)
 式を変形すると、
 x={(β+γ)±√((β-γ)^2)}/2 ∴x={(β+γ)±√((β+γ)^2-4βγ)}/2
 解と係数の関係より、
 x={(-a)±√((-a)^2-4b)}/2 ∴x={-a±√(a^2-4b)}/2
 (終り)

である。

 

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